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  • 執筆者の写真桂 昇平

住むはたのしい。


土地探しや家づくりのことを伝えることの多いページですが、

私自身生活者として、家を建てたものとして、

これから家づくりを考えている方に伝えられることがあるかもしれません。


私のもとにも多くの土地探しのご相談や、家づくりのご相談が寄せられます。

皆さんに共通しているのは、理想をすべて詰め込んで、

完成した家を求めているということです。


もちろん、新築の家を建てることは理想を詰め込んだ新しい場所が出来上がる

それはそれは楽しいことです。


自分が望んだ場所に、自分の望んだものが、お金さえ許せば

具現化するのです。


こんなふうにしたい!

あんなこといいな!


まさに夢が現実になっていく。

それが家づくりです。




私も家づくりを進めているとき、あれもこれもと

たくさんのことを考えて、やりたいことを並べて

あーでもないこーでもないと悩みに悩んで

家づくりをすすめました。


そして完成した家。


隅々まで自分が思い描いたとおりの家が完成しました。



しかし、家はここからがスタートなのではないのかなと思います。

出来上がった箱の中に暮らすのは空間を乱しもすれば、壊すこともできる

人間です。


完全に完成された空間に入ってしまうと自分は調和を乱す存在でしかなくなってしまう。

何かを床に置くことや、壁になにかをかけることもためらうような

窮屈な空間になってしまいます。


そこで家づくりに大切なことは「余白」を設計することなのではないかと思います。


我が家の場合はあまり作り付けの家具や収納を最初から作らずに、

ある程度自分たちが家に収まってみて、ここに棚が必要だと感じたら

棚をつける。ここに吊り金具が必要だと思ったら、躊躇せず壁に穴を開けてつける。


そうやってこの1年程を暮らしてきました。


最初は作ってくれた職人さんの顔が浮かぶ作品だった家が

段々と自分たちにとって親しみを持った、相棒のような「家」に

変化してきたのを感じます。


もちろん、少し汚れてしまった部分や、傷ができてしまった部分もあります。


やっぱり生活をしているといろんなことがあります。

ものを落とす。壁に当てる。刺さる。歪む。割れる。


特に天然素材である木や漆喰を使っている以上、

様々なアクシデントはつきものです。


そんな色々を余白を持って楽しむことで少しづつ

自分の家になっていくのだと感じています。


なるべく完成した家にしたい。

住んでから手のかからない家にしたい。


その思いもよくわかります。


でも、少しづつ傷んで、めげて、自分たち家族とともに成長し成熟する。

そんなふうに暮らしを楽しむことが案外豊かな暮らしかもしれないなと

感じています。





まだ住んで1年。

これからどんどんと熟成を重ねていい具合に味が出てくるのが楽しみです。


今回は家に住んで私が思うことをお伝えしました。

完璧な空間よりも自分たちにしっくりと馴染む空間を目指して

これから長い間を住みこなせていけたならと思います。


そう、あと我が家には庭があります。


庭師さんが完成した庭を見ながら

「僕は完成ですとは言わないんです。これから3年経って、

木も茂り、塀や土も経年の変化を経てだんだんといい感じになってくるんです」


といっていました。





外にも大きな余白があります。

庭の手入れをしたり、新たに木を植えてみたり、周りの環境を

見ながら空間を変化させていく。


こんなに暮らすことは楽しいのだと日々実感する。


ああ春が、芽吹きが待ち遠しい3月です。






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