著者:中沢 新一
発行元:角川書店
中沢新一の独特の熱を持った文体に引き込まれます。
本書は様々な媒体に発表した文章をまとめたアンソロジーのような一冊です。
なかでも、特に面白いのは以前から取り組まれている
アースダイバー的な話題です。
なぜ全国各地に同じような地名があるのか。
その地名にはどんなつながりがあるのか。
一つ一つは点に過ぎない物事を想像力と構想力で
ひとつながりの線にして物語を描いていくその筆致。
身体的感覚から生まれた地形に対する畏怖や憧憬。
地形を女性の体に見立てて生命の力を感じる場所と捉えること。
地球は身体の外部であり内部である。外であり内である。
地面には巨大な竜の力が流れていてその力を取り出すこと。
取り出すことのできるものが、エネルギーや権力と結びついてきた。
巨大な力を制御する力を持つ。それが権力として
太古から崇めたてまつられてきたのだ。
私自身、地面を扱うものとして土地の持つ力や
場所の持つ雰囲気には敏感にいたいと考えています。
その土地に立ったときに感じる雰囲気や感触。
空気の流れ方。感覚的な明るさや暗さ。
こういったことは実際にその場所に行かないと
感じることのできない部分です。
そして、これが実は一番大事な部分です。
身体が告げること。感覚が教えてくれること。
良い空気感。その場に自分がすっぽりと収まり過不足のない感じ。
これを感じる場所は人それぞれですが、自分にとってそんな場所を見つけたら
そこはあなたの場所です。
土地を案内するときも感覚は大事にしている部分です。
そんな感覚を刺激して活性化してくれる一冊です。
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